初めて訪れたのは15年ほど前のこと。
ただただ、この町に来たくて、
それだけで満足してプーリアを後にしてしまった。
まるでそこだけ空から降ってきたかのように
とんがり帽子の集落が広がるアルベロベッロ。
ひとたび足を踏み入れれば、
誰もが笑みを浮かべるおとぎの世界。
その姿は、あの頃と寸分変わらない。
でも今日は、にぎやかな土産物屋を避けて、
裏通りを歩いてみよう。
世界中からやってくる観光客にさらされながらも
小窓に飾られた花に、掲げられた番地に、立てかけられた自転車に
住民たちの息吹が感じられる。
人が住んでいてこそ、町は生きる。
いつ訪れても同じ顔がそこにあるように。
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