■ 2004.9.4〜2005.1.15


シチリアの町を歩く中で、土産物屋の壁にぶら下がった人形を見かける事がよくある。
プーピ・シチリアーニ
シチリアの伝統的人形劇に使われる人形である。

金属製の盾や鎧に身を固めた人形たちが、
操り手のセリフ回しと共に、
馬を駆り、サラセン人と戦い、囚われの姫を救い出す。
いま流行りの騎士道の王道をいく物語が、
TVの代わりとして大衆の娯楽を支えてきた。
ひと昔前までは…

現在は特別な場所でしか見れない、
有形文化遺産のような貴重な伝統芸能になっている。
しかし例えば、日本の文楽人形は土産物屋に置かれてはいない(多分…)

たとえ土産物用の粗悪なつくりであっても、
壁の華と化し、日に焼けホコリまみれであっても
今なお日常的に目に触れる事ができるプーピ、人形たち…

侵略と支配による苦渋をなめてきたシチリアの歴史を
その小さな背中に担って、今日も彼らは道行く人々を眺めている。



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