フィレンツェからだと約1時間でこれるアレッオは、しかし、それほど観光客が訪れる街でもない。まして日本の人など、 今まで見かけた事がなかったのだが、今回、3度目の正直?にして二組もの日本人を見かけた。

そう、ここアレッツオは映画「ライフ・イズ・ビューティフル」のロケ地として、日本でもすっかり有名になってしまったようだ。

ヴェローナを後にして今夜の宿泊地、ペルージアに向かう途中で、アレッツオに立ち寄ることにした。私の大好きなピエロ・ デッラ・フランチェスカの画もあるし、友人は初めてだったし、しかもココにはウマいレストランもある(笑)

というワケで昼にはアレッツオに到着。でもフィレンツェを横目に通り過ぎるだけ…という贅沢?にはちょぴり後悔の気も沸いてきて、2人とも車窓 越しにタメ息をつくのでありました…

ダンテと並ぶ詩人ペトラルカや
芸術家列伝で知られるヴァザーリなど、
優れた人材を排出したアレッツオ
映画にも登場するこの回廊は、ヴァザーリが設計している

長い回廊を抜ける風が、暑さを和らげ陽光を遮る
昼食後のエスプレッソを重ねる人々の声が 重なり響く、
長い午後が始まろうとしている

LIFE IS BEAUTIFUL

1998年公開
■監督・脚本/ロベルト・ベニーニ
■音楽/ニコラ・ピオヴァーニ
■出演/ロベルト・ベニーニ
ニコレッタ・ブラスキ、ジョルジオ・カンタリーニ他

主人公のグイドが、妻と子供を器用に自転車にのっけて(アノ乗り方にはびっ くりしたし、マネしたくなった!)坂を駆け下りてくる広場が、ここP.za Grandeである(写 真上)扇型に広がるこの広場に立っていると、グイドの笑 い声が今にも聞こえてきそうだ。映画の時代設定の街並みがそのまま残ってるって、だからロケ地になっただなんて、よく考えると当たり前だけど、ス ゴイ事なんだよね!あの撮影だって、街並みにはほとんど手を加えてないはず。そして主演のロベルト・ベニーニは、奇しくもここアレッツオ出身者。 そう思うと、選ばれるべくして選ばれたこの地が、より一層ステキに目に映るんであります!

8月の最終日曜日と9月の第一日曜日に行われるアレッツオの「サラセン人の馬上槍試合」は、日本での知名度はまだまだ低いが、 シエナのパリオに匹敵する勇壮な祭りとして有名である。

色とりどりの楯が壁中に飾り付けられ、お祭りムードがそこここに漂っていたのだが、肝心の祭りは?というとうと、まだ一月以上も後!気が早いというか 何と言おうか…ねえ?(笑)

 〜Roberto Benigni ロベルト・ベニーニ〜
 

「ライフ・イズ・ビューティフル」で99年のアカデミー賞主演男優賞を受賞したロベルト・ベニーニ。日本でも一躍有名に なったが、私が彼の映画を初めて観たのが、86年公開、ジム・ジャームッシュ監督の「ダウン・バイ・ロー」だった。

彼とトム・ウェイツ、ジョン・ルーリーの3人の囚人の奇妙な逃亡劇を描いた映画だったのだが、ベニーニ演じるイタリア人のアヤしくヘンテコな英語に、 2人が(しかもこのメンツよ!)翻弄される様が何ともオカしくて、前編モノクロームの渋い映像だったのに、コメディみたく笑ってしまった。マシンガ ントーク、ベニーニの本領発揮のシーンも随所にあって「誰なの?この変なシトは?」ってすっかりファンになってしまった!

その後、イタリアのテレビトークショーで彼に再会。大笑いしてるイタリア人の友人が、老若男女問わず絶大な人気を誇る俳優であり、監督であり、脚本 家であるロベルト・ベニーニの事を教えてくれたのである。不安定でクリーンといえないイタリア政界を痛烈に批判、皮肉り、スクリーンの中でもジョー クの中に鋭い風刺を効かせ、イタリアのチャップリンとまで言われているそうな…おぉ〜そんな有名な人だったんだ〜サえない中年オヤジと思っていたの に…と私はびっくり!そして偶然とはいえ「ダウン〜」で彼に出会えた事を感謝したのでありました(笑)

でもこの映画、ホントにマジで面白いからお勧め!ちなみに「ダウン〜」のラストで彼と一緒になる女性、「ライフ〜」での妻役のニコレッタ・ブラスキ は彼の実際のパートナーであり、名脇役としてスクリーンの中でも彼を支えている。

 

■主な出演作品

・1986 「ダウン・バイ・ロー」
・1989 「ボイス・オブ・ムーン」
・1991 「ナイト・オン・ザ・プラネット」
・1991 「ジョニーの事情」
 (監督・脚本・出演)
・1994 「ロベルト・ベニーニのMr.モンスター」 (監督・脚本・出演)
・1998 「ライフ・イズ・ビューティフル」 (監督・脚本・出演)

※最新作はピノッキオ!

             
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