見よ!アッ! という間に
埋まってしまったアレーナ!
実に壮大な眺め!
いやおうなしに気分が盛り上がる!
おぉお〜♪

 
 

IL TROVATORE 1953年初演 Giuseppe Verdi 作曲

ルーナ伯爵は女官のレオノーラに恋心を抱いているが、彼女は吟遊詩人(トロヴァ トーレ)マンリーコに思いを寄せている。また伯爵は、行方不明になったままの弟を 捜し続けているが、なかなか所在を突き止めることができない。マンリーコの母親で ある年老いたジプシーのアズチェーナは、そのむかし母親を先代の伯爵によって火焙 りの刑に処せられたため、伯爵の弟をさらい育てながら復讐の機会を狙っていた。や がてアズチェーナもマンリーコもルーナ伯爵に捕らえられることとなるが、レオノー ラは自分の身と引き替えに、伯爵にマンリーコの助命を懇願する。伯爵は承諾するも のの、思いを遂げる前にレオノーラが服毒自殺してしまい、怒りにまかせてマンリー コを処刑した。それを見届けたアズチェーナは、「今こそ復讐は成し遂げたれた、マ ンリーコはお前の弟だ」と伯爵に叫ぶと、自らも息絶えるのだった。(新国立劇場案内より)

 
                 
 

すいませ〜ん!やっぱ手ブレで写 真はウマク撮れなかったス…
でもでも、せめて臨場感だけでも… ねっ?歌声が聞こえてきそうでしょう?
後で知ったのだが、今年の演目の中で、
新演出で注目を浴びていたのが、このイル・トロヴァトーレだった。
演出家は映画監督でもある F・ゼッフレッリ

 

 

ずっと後ろにあった教会の扉がガパッと開いてキンキラキンの祭壇が現れたり(写真)、 舞台がデカイアレーナならではの迫力あるセットとかホントに見ていて楽しかったんだけど、いかんせんオペラは長い!なにせ始まったのが9時 過ぎだから、幕間の休憩に入ったのが11時前!1.2幕は雰囲気に飲まれて楽しい観劇、後半3.4幕は睡魔と寒さとの戦いだった(笑)

寒い?そぉ〜〜なんである!夏とはいえ、夜風が冷たく、ジワジワと体温を奪っていく。寒いというより冷えるという感じ…しかも1日歩き回っ た身体は睡眠を求めて、マブタに「もう寝ましょう」コールを送り続ける。寒いわ眠いわで、まるで「寝たら死ぬ!」の冬山遭難状態!辛かった〜(笑)

こんな熱気ある席で眠りこけてたらリンチされちゃう!と思ったら、回りの人もうっつらコックリ(笑)4人組の若者グループなんて、ピッツァの箱 を抱えて完璧に眠ってるではないか!(笑)そう…長丁場、遅い開演のアレーナでは、よぉ〜く昼寝して臨むこと!そして長袖を着ていくこと!コレ 絶対!です!

 

 

日も暮れだし開演時間が迫ってきた頃、前の席から小さなろうそくが回ってきた。アレーナの開演前のセレモニーは、 2万人の観客が持つろうそくの灯から始まる。誰からともなく火のついたろうそくを出してはお互いに火を分け合い、かぼそげな灯は、やがて 満天の星空のようにアレーナ中に広がっていく。

キラキラユラユラ…アレーナを駆ける風に負けまいとして揺れる灯が生き物のようにうごめき、ドラマティックな幕開けを演出する!この一瞬が 見れただけでも幸せ…とばかりにうっとりする私は、最後までしつこく灯を灯し続けるのでありました…(笑)

自分のヒザ小僧が前の人の背中にぶつかってしまいそうな狭い席だけど、みんな大きな身体をなんとか押し込んで座っている。規律制に何かと欠 けるイタリア人でも我慢してるんだ…と思うと何か微笑ましいけど、老若男女ホントにいろ〜んな人が来てるのがやっぱスゴイ!!

 〜 Opera オペラのすすめ 〜

私はオペラは全然わからない…知らない人である。このアリアがどうとか、この歌い手がどうとかなんてチンプンカンプン。 ストーリー展開だって幼稚園児並みの知識しかない(笑)それでも美しい旋律や、衣装や舞台装置のキレイさ、面白さといった感覚的な事で楽しめる から退屈しない。もちろん、これにキチンとした予備知識があれば100倍楽しめるんだろうけど、細々とした事を要求しない大きな懐がオペラにはあ ると思う。

その中で今回最もびっくり!ある意味で感動したのが、第2幕の冒頭に歌われた合唱の時に、客席のみんなも一緒になって歌いだした事だ!!えぇ〜 〜!?って思わず回りを見渡してしまった!だってそんなんありぃ〜?って思うでしょう?普通(笑)日本じゃセキをするのも気ぃ使うモン。後で調 べたところ「見よ夜の帳は明けて 」というジプシー達の歌だった。ちなみに現在公開中の映画「コレリ大尉のマンドリン」の中で、ギリシャの島に駐 屯するイタリア人兵士達が、この歌を歌うシーンがある(愛唱歌なんだろうか??)

同じくヴェルディ作「ナブッコ」の「行け我が思いよ黄金の翼にのって」なんて第二のイタリア国歌と言われるほど人々に親しまれているという。こ れほど愛されているのには国歌統一への熱いドラマも隠されているわけだけど…きっとアレーナ公演ではとどろかんばかりの大合奏になるんだろうナ (笑)

オペラをよく知らない私が言うのもなんだけど、みんなが一緒になって歌ってる姿を見て「オペラの心はイタリアのココロ」って思ってしまった。 文化そして歴史ね。華やかな雰囲気、豪華な衣装、巨大なセット…アレーナであれば飲食、アルコールさえOK!(笑)曲を知らなくてもストーリーを 知らなくても、楽しめる要素がふんだんにあるオペラへ…機会があれば是非行って見てみてください!

後半はほとんど夢遊病者のように睡魔と戦い惜しくも惨敗!終演の拍手で気が付く有様だった(笑) 時刻なんと12時半!オペラ鑑賞って体力がいるのね…

でもでも、ワイン片手に星空の下でオペラだなんて!ステキな体験だったし、途中で調子悪くなったおじいさんがみんなに担がれ退場…なんてハプニング さえ楽しい(ゴメンねじいちゃん)雰囲気だった!でも早く帰って熱いシャワー浴びて寝たい!〜コレが本音?

| BACK | NEXT |