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ピンクがバニラ、赤がシナモン味のチョコレート。
奥に見える筒状のモノはシトロンの皮を砂糖で煮固めたトッローネ

現在の工程では取り除くカカオバターをそのまま残し、なめらかにするために火を通す事も一切しないという、砂糖とカカオを練り合わせる、まさに昔ながらの手法で作られるチョコレートは、ガツンと無骨な味がする。舌の上で泡雪のように溶ける事もなく、思わず顔をしかめてしまうほどジャリジャリと砂糖が残る。黒砂糖の固まりを食べているようなそんな感じ。しかしその後に驚くほど濃厚なチョコ、いやカカオの香りと味、正直、美味しい!とは言えないが、口中に広がるカカオの滋味は、お菓子より薬として用いられていたその威力を発揮するがごとく、クラクラと身体に染み渡っていく。

この製法でチョコレートを作る店はここモディカとバルセロナ、そしてメキシコにしかないという。ソレと知らずに入れば、チョコレート専門の店とはわからぬほど整然とした店内には、薬屋のように白衣に身を包んだ店員さんが静かに佇んでいる。昔使われていたカカオをすり潰す石臼や計りなどが飾られているので余計そう見えてしまう(笑)

チョコレートの種類はバニラとシナモンの2種類のみ。だが最近「唐辛子味」も作ったらしい(なんで唐辛子やねん?!(笑)またチョコレートの他に、これも歴史深いアラブ起源の焼き菓子がいくつか置いてある。その中でも是非食べてみたい!と思っていたのが、子牛のミンチを包んで揚げたラビオリのようなお菓子、イパナテッリ。

ミンチが入ってるなんて〜と思って興味津々だったんだけど、シナモンの香りやドライフルーツの甘みが上品でミンチが入ってるなんてとても信じられない美味しいモノだった。他にも数種類焼き菓子を買って道中のオヤツとして味わったのだが、どれも非常にウマかったです!

※通りを挟んで向かい側にもチョコレート店があり、手頃でバリエーションに富んだ商品が並んでいる。お勧めはアイスにかけると絶品!のチョコリキュール!
※モディカの街に行けなくてもカターニア空港内にBonajutoのチョコが置いてあったよ!

 アステカ王が愛したチョコレート

メキシコはアステカの王が強壮剤として口にしていたというチョコレート。新大陸の発見と共にカカオがスペインに渡り、長い年月を経て、今ある洗練されたお菓子へと姿を変えたワケだが…ここモディカには、当時と変わらぬ製法でチョコレートを作り続ける店がある。1880年にこの店を開業した Francesco Bonajuto、イタリア語にはない「J」の文字が入るその名はスペイン人の末裔、曰くチョコレートの伝道師の証ともいえるだろう。その彼が、シチリアのこの小さな町にどうやって辿り着いたのかは神のみぞ知る…なのだが、遠くアステカの王が愛したチョコレートが目の前に並ぶ奇跡のような瞬間に、何をおいても立ち会いたいものである。

Antica Dolceria Bonajuto
www.bonajuto.it


岩肌にそびえるカステッロの時計台。そこから流れる鐘の音にあわせるかのように広場のBARに人々が集う


ブラスバンドの行進が一番良く見える特等席を仲良くシェアする老人たち。その背の大きさがちゃんと順繰りになっているのが微笑ましかった…

ちょうど何かのお祭り中で、道路規制もあったんだけど、いつの間にか街の中までズイズイ入り込んでしまった私たち。ま〜エエかぁ〜と(だんだん大胆になってきてる)インフォメーション前に堂々と停めて街歩き!


Siacca ▼Modica