ローマからの日帰りにぴったりなのが、美しいドォーモと白ワインで知られるオルヴィエートである。

ケーブルと小さなバスを乗り継ぎ、小高い丘にある街に入ると、まるで祭壇画のように壮麗なファサードを持つドォーモが迎えてくれる。300年近い歳月をかけ造られたその姿は、イタリアでも屈指の美しさであろう。

初めて見た時には、こんな小さな街にこんな立派なドォーモがあることが信じられず、飽きることなく見惚れたものである…また、内部の礼拝堂にある劇的ともいえるシニョレッリのフレスコ画も見逃せない。

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ドォーモ近くの横道を入ると、とても現代的で洒落た工房やギャラリーが並ぶ通りがあり、そぞろ歩きの楽しみには事欠かない…

ちょっとした雑貨の店もあるのでかわったお土産を探すのにはもってこいだろう… そこからまた横道に入るとこれは古びた石塀が延びており、新旧のギャップもまたこの街の魅力のひとつといえるだろう…

ギャラリー前に置かれた木のベンチとオブジェ…
現代風のモノでも、回りと見事に調和しているのは、サスガ!

通りで見つけたピノキオの看板…
カメラを向けた私の背後から「こっちに来なさい、来なさい〜」という声がする…振り返ると、おじいさんがニコニコしながら手招きをしてる。 誘われるまま、このピノキオの作者であるジュセッペ(!)おじいさんの工房へ…

案内された薄暗い地下室には、ムッとした木の香りがこもっていて足下には大小様々なピノキオが並んでいる。ドッコラセと腰掛けたジュセッペ爺さんは「日本から来たのかい?よしよし一つ作ってあげよう」と言うなり、木片を選びナタを振り下ろすと瞬く間に1体のピノキオを作ってプレゼントしてくれた。木っ端を釘でくっつけた簡単なモノだが、ちゃんと手足が動くし、なんといっても素朴な作りで味がある。

足の裏にサインを書いてくれたので、彼に「ありがとう!写真を送るから住所を教えてくれませんか?」 と聞くと「ジュセッペ・オルヴェートと書くといい」「うんうん、で番地は?」「番地?そんなものはいらないよ」「え〜っ?」

いたずらっ子のようにクスクス笑いながら「大丈夫!大丈夫!それで届くから」だって!(笑)このジュセッペ爺さんはオルヴィエートの密かな有名人!らしい!といっても小さな街のこと、それで十分なのかもしれないがこうなると、彼の本名が「ジュセッペ」なのかもかなり怪しくなってくる(笑)それで届いたか?って?さぁ〜それは誰にもわかりません…(笑)

それから数年後、百貨店でのイタリアフェアをのぞいた私は自分の部屋で見慣れたピノキオが棚の上に整然と並んでいるのを発見してたまげてしまった!おぉ〜〜っ!これは「ジュセッペ爺さん」のピノキオではないかっ! 誰がどうしたか?彼を日本の催事に引っ張り込んだのである!作者紹介の写真の中で元気そうな顔で笑ってる彼を見てホッとしたような、それでいて自分だけの(と思っている)ピノキオが世間に出て、ちょっと残念なような、複雑な心境の私でした…(笑)

みなさんがいつかオルヴェートに行く機会があったら是非ジュセッペ爺さんを訪ねてみてください… 住所は「ジュセッペ オルヴェート」木屑をつけたエプロン姿で、出迎えてくれるはずです…

 

私があんまり喜んだからか、も1つちびっ子をプレゼントしてくれたんだけど、長い旅の間に、これら2体のピノ キオはずいぶんと私を元気づけてくれました(笑)ホテルに着くと、こうやって飾り、そのとぼけた顔を眺めながら、寝酒のワイン をよく飲んだものです(笑)