塔の街として知られるトスカーナの古都サン・ジミニャーノ
中世の街そのままが残っているかのような佇まいは訪れる者の心を静かに癒してくれる

 

富の象徴、そして街の防御という名目の上で競い合うように建てられた塔は、最盛期には70近くを数えたという。3キロにも満たない城壁で囲まれたこの小さな街に、よくもまぁそれだけ建てたものだ…と妙に感心してしまいそうになるが、当時は「100塔の街」と呼ばれ繁栄を誇っていた。

現在残っているのはわずか14本…しかし街のどこを歩いていても、 天高くそびえ立つ塔の姿を見ることができる。 時は流れても塔は今でも街のシンボルとして、今日も青空を背負っている…

 

 

小さな街を歩く時の楽しみのひとつが
迷路のように延びる小径をたどることだ…
大通りをはずれて路地のトンネルを抜けてみよう…

ひととき日の光が途切れ
ひんやりとした空気が身を包む…
しかし出口を抜けたとたん
全く別の光景が目の前に飛び込んでくる

迫り合う建物の頭上を二分する
サン・ジミニャーノの塔たち…
その姿は路地とトンネルの数だけ
変わり存在するのかもしれない
 
自分だけの風景を探しに…
自分だけの場所を見つけに…
地図はしまって歩いてみよう…
お気に入りの路地が見つかれば
その街はもうあなたのモノである

 

イタリア人映画監督 F・ゼッフレッリはこのサン・ジミニャーノで2本の映画を撮っている。 聖サンフランチェスコを描いた「シスタームーン・ブラザーサン」(1972年) そして自伝的映画「ムッソリーニとお茶を」(2000年)である。 スクリーンの中で、もう一度この街と対峙してみるのも面白いかもしれない…

 

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