クリスマスのこの時期、街中のあちこちで見受けられるのが、 人形が配されたジオラマ風のプレゼーピオである。聖母マリア、東方三博士、牛、羊などが総出演してキリストが生まれた馬小 屋の光景を演出している。

本来Presepio(プレゼーピオ)とは 秣桶(まぐさおけ)という意味だが、語源はキリストが生まれたという馬槽(まぶね)から来ている。 その聖なる秣桶をアッシジのSフランチェスコが、祭壇に奉った 事からイタリアではクリスマスツリーより、このプレゼーピオを 飾る風習が続いている。

いわば12月の街の風物詩として人々の 目を楽しませるプレゼーピオ。その姿は実にさまざまで、毎年コレを見るのを心待ちにしている人が多い。 例えばローマのテルミニ駅などの巨大で精巧なプレゼーピオには 人だかりが絶えない。反対に鈍行しか止まらないような小さな町 の小さな駅に飾られたプレゼーピオは、何年もの間受け継がれてきた伝統的な人形で一年を締めくくる。

カタチはどうであれ、カトリック圏の国独得のクリスマス… プレゼーピオ。ちょっと足を止めて、彼らの文化に根付いた「祭り」のひとつを見てくるのも悪くない。

家族と静かに過ごすクリスマスが終わると、今度はうって変わって賑やかな L'ultimo giorno(大晦日)がやってくる。教会でのミサやコンサート、クラブのパーティやら、この日はどこかで必ず楽しい催しモノが開かれ、過ぎゆく年と新年を祝う人々の声が夜更けまで聞こえることになる…

95年最後の日のローマ。12月にしては暖かい夜、私は友人たちと一緒にポポロ広場に立っていた。 今日、大晦日、ローマで最大イベントがもすぐ始まろうとしていた。称して50台のピアノコンサート。長い映画の歴史をひとひとコマめくるように、名作の名場面 が回りの建物に転写されていく。

ポポロ広場入り口にある双子教会の円蓋にモンローとキートンが浮かび上がる。50台のピアノが奏でる映画音楽の調べにのって、BARの看板の上にデートリッヒが、ボガードが、S・ローレンが、はたまたミッキーマウスまで登場して、その度、我々は首を伸ばし指をさし、笑いあう。 まるでニューシネマパラダイスのような粋な演出にタメ息をこぼしながら…

そしてフィナーレはダースベーダーとスターウォーズ…
みんなの熱気も最高潮に達し、 全員でかけ声をかけながらのカウントダウンが始まる
5.4.3.2.1…
頭上にいくつも花火が上がり、
どこからともなく降ってきたスプマンテが甘い飛沫をまき散らす…
この時ばかりは…と皆が歓声をあげ飛び跳ねる…

あぁ〜何てステキな瞬間なんだろう!
回りに友だちがいる事も忘れ、私もぴょんぴょんジャンプする。
まるでそうすれば花火の欠片が掴めるかのように…
楽しい中にも荘厳な儀式のようなカウントダウンが終わると
広場にトロピカルなサンバのリズムが流れ出す
今夜は眠らない街ローマのセカンドステージの始まりだ  

この頃になると、人びとが後から後から広場に向かってやってくる
道行く人は誰かれともなく、こう呼び合う   「Buon'Anno!」(新年おめでとう!)と…
いぃ〜なぁ〜こうゆうのって!それが自然にできる、言いたくなる…
そんなローマの L'ultimo giorno〜最後の日〜とIL primo girono〜新年〜
みんなにとって幸せな一年でありますように…


ちなみにこの日にBACCI(キス)を求められたら、断れない…という、どっちにとって有利なんだかわからない決まり?がある(笑)お茶目なローマっ子にせがまれたら、笑顔で頬を差し出してあげよう… それか自分で探し出すか…はアナタの自由である(笑)どっちにしても、小さなキスで新年を迎えるなんてステキだと思いませんか?