そんなナイナイづくしの空間なのに、なんてキレイなんだろう!!そう、美しい!その一言に尽きる!

イタリアの教会の美しさといえば、そびえ立つ尖塔であり、豪奢なファサードであり、著名な画家の絵である。しかしその衣の下に、こんなに繊細で美しい骨組みが隠れていたなんて、今まで考えたことがなかった。

フォルムだけではない。削ぎ落とされたボクサーの肉体のような、静かなる力強さがヒシヒシと感じられ、その中で思わず息を潜め、背筋をシャンと伸ばしている自分に気が付く。

ここは死に絶えた廃墟ではなく、今なお生き続ける聖堂なのだ。緑の広野にポツネンとたたずむ屋根のない大聖堂。あぁ〜なんてロマンティック、そして感動!ホントにホントに来てよかった!!

見上げると空。そして木々の枝

 

 

 

 

裏手に回って外から眺めてみる。何か違う。あまりにも平凡だ…どうしてこうも「中」と「外」の顔が違うのだろう?

まるでピラミッドパワーのように「中」には「気」がこもっている。

     

外観は朽ち落ちた建築物そのまま…である。しかし一歩中に入れば、圧倒的な空間に思わず息を呑む。

金銀に飾られた祭壇があるワケでもない。壮麗なバラ窓があるワケでもない、絵もなく十字架もなく、足元といえば砂利の地面。おまけに頭上は文字通りの青天井だ。

 映画で見るサン・ガルガーノ 音楽を聞くサン・ガルガーノ

この素晴らしい修道院は、日本のガイドブックではほとんど紹介されていない。
が、しかし、映画を通して知った人は多いはずだ。それが「惑星ソラリス」などで知られる、旧ソ連の巨匠アンドレイ・タルコフスキーの撮った長篇第6作「ノスタルジア」である。

彼がソ連国外で初めて撮ったこの作品は、さまざまな映画賞を受賞するとともに、各国における同年のベストワンシネマにも選ばれ、まさにタルコフスキーの代表作ともいえる1本になった。
サン・ガルガーノという特異なロケーションを包み込む独自の映像美は、現地とはまた違う美しさを見せてくれる

■公式サイト www.zaziefilms.com/nostalghia/
■解説サイト www.imageforum.co.jp/tarkovsky/nstlg.html

夏のイタリアではさまざまなイベントが催されるが、その中でもこの季節ならではの野外コンサートは、音楽を聞くだけではなく、コンサート会場になる教会や遺跡をも見て楽しむ醍醐味がある。

シエナにあるキジアーナ音楽院は、イタリアでも有数の名門だが、この音楽院が主催する夏の音楽週間の中で、サン・ガルガーノで催されるコンサートがある。

頭上に広がる星空、月明かりに浮かび上がる修道院…こんな中で聞く音楽って一体…まさに至福のひとときが過ごせることでしょう…しかもコンサート当日に限り、シエナから直通バスが運行されるとのこと。アクセス不便でなかなか訪れられない地だから、スケジュールがあえば是が非でも行ってみるべし!

■キジアーナ音楽院 www.chigiana.it

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